番地レベルでの本格的な逆ジオコーディングを使ったWEB地図サービスは既に存在していた。

えーと、
どうやら、その道の専門家の人たちは、
「住所文字列から、その場所の緯度・経度を求める事をジオコーディング(Geocoding)」と呼び、
反対に、
「緯度・経度から、その場所の住所を割り出す事を逆ジオコーディング」と呼んでいて、
最近ずいぶんと脚光をあびているようですが、
私としては内心
「ソフトウェアがどんなに進歩しても、おお元の基礎データがアレなあいだは、砂上の楼閣さ!」
って思い込んでいました。
でもこの私の考えは間違っていたようです。
現に番地レベルでの本格的な逆ジオコーディングが行なわれている事に気が付きました。
と云っても、
私がここで「本格的な逆ジオコーディング」と呼んでいるのは、多角形の形をした土地の外周上の全ての角の点の座標をデータベースに持っていて、与えられた経緯度の場所がその多角形の中に位置しているか否かをしっかり判定した上で「何々番地です。」って答えてくれるようなシステムです。
それでも、
せいぜいカーナビ等で「現在地は何番地付近です。」って云う程度の物でしかありません。
決してGISに求められる精度*1ではありません。

前のエントリで出てきた Simple FON Maps が使っていた逆ジオコーダ( invGeocoder )は、残念ながら「本格的な逆ジオコーディング」ではありません。


また、「逆ジオコーディング」って云うとすぐに 「 API は? 」 って話が出てきそうですが、おそらく公開されていません。

では、実際にその地図を見てみましょう。
ここをクリックしてください。
表示されたページの中から、例えば、下から2番目のリンク


「 1. 東京タワー 東京都港区芝公園4丁目2−8 」


をクリックするとこのページがでます。
がしかし、このページのどこを見ても番地なんて出てきません。
地図画像の左上のところに


「 地図 > 東京都 > 港区 > 芝公園 > 4丁目 」


と出ていて、
「4丁目」までしか表示されていなくて、ごく普通のレベルの 逆Geocoding のように見えます。
しかし、
この地図を一段階拡大して、いわゆる 「 500m 」 スケールにしてみると、今度は、


「 地図 > 東京都 > 港区 > 芝公園 > 4丁目 > 2


と表示されて、しっかり、番地のレベルまで 逆Geocoding している事に気付かされます。


タイトルバーに住所が表示される訳でもないし、かつ、ある程度拡大した場合にのみコッソリと番地が表示されるので、意識して注目している人で無いと実際に気が付く人は少ないのではないでしょうか?


では、今度は区画整理のされた地域の地図を見てみましょう。
こちらをクリックしてください。すると、次のように住所表示されます。


「 地図 > 東京都 > 福生市 > 南田園 > 2丁目 >


このスクロール地図は、番地の部分にもこのように↑リンクが張られていて「〜番地〜号」のレベルまで枝分かれした住所をすぐに探し出せるようになっています。この事は、今回のように経緯度指定で地図を表示した場合でも、住所一覧検索をしたのと同じ使い勝手を提供してくれています。


またこちらのように番地レベルデータの整備が進んでいない地域では、そのデータの整備状況に応じて「大字」よりもさらに踏み込んで「小字」のレベルまで表示してくれます。




こうやって見てくると、(少なくとも私には)なんか素晴らしい地図のような気がしてきますが、どんな地図にも間違ったデータは混じり込んでいます。(必ずしも不正コピー防止用って事では無くて)
例えば、
こちらの地図を見てみると↓のように表示されます


「 地図 > 東京都 > 調布市 > 国領町 > 8丁目 >


この番地の所に貼られているリンクをクリックしてさらに
」のリンクをクリックすると
「 東京都調布市国領町8丁目29 住所一覧 」と表示されてしまい、まるで「8丁目29番地」みたいですし、このページには、さらに「2」「3」「4」のリンクが表示されていて、なんかもう、訳分からんです。なんちゅうーか「発展途上」のシステムかも?って感じ!
それに同じ場所を例えば Mapion で見てみると
東京都狛江市和泉本町4丁目付近地図
調布市じゃなくて狛江市? 市境が移動したの? 他のゼンリン系の地図だとどうなってるの? 」って事になって

東京都調布市国領町8丁目 - いつもガイド
を見てみるとタイトルバーには、「調布市」ってハッキリ書いてあるけど、 Mapion の場合にクッキリ見えていた調布市と狛江市の間の境界線が赤い点線でウッスラと見えています。
って事はこの地点を逆Geocodingするなら「狛江市」になるのが正解でしょ!


ちなみに、いろいろな地図で同じ場所を見比べてみたいって方は、こちらをどうぞ。

まぁー、「弘法にも筆の誤り」っていうか、今時のWEBサービスなんてβ版で当たり前な時代ですから、(たぶんロクな基礎データも無い?ところから)この手の逆ジオコーディングを作り上げたのは素晴らしいと思います。
日本全国の津々浦々でこの番地レベルでの本格的な逆ジオコーディングが可能になるのは、まだまだ遠い先の事でしょうが、現状のように市街地の一部ででも番地レベルまで出来ているのは素晴らしい。






えーっと、蛇足ですが API は、公開されていない訳ですが、まあちょっとその気になれば
<?xml version="1.0" encoding="EUC-JP"?>
<i><w v="○×△.html"/><a v="○×△県|○×△市|○×△|○○丁目|○○"/>
以下略
みたいな文字列をゲット出来るかも?



*1:道路や河川などの「官地」と民間の土地である「民地」を明確に区別する必要がある